熊本の風俗営業の図面で、客室と営業所の床面積はどこから測る?壁芯と内のり・カウンターの扱い

「図面を作るのに、お店の広さを測りたいのですが、壁の真ん中から測るのですか。内側から測るのですか」

スナックやキャバクラなど、接待のあるお店(風俗営業の1号営業)の許可を申請する方から、よくいただくご質問です。許可申請書には「営業所の床面積」と「客室の床面積」の2つを書く欄があり、この2つは測り方の決まりが違います。

結論から書きます。営業所の床面積は、建築の図面の面積(壁の中心線で測った面積)でも足ります。客室の床面積は、壁や柱の内側(内のり)で、ついたてなど飲食に使わない部分を除いて測ります。 どちらも、求積図と求積表を付けて、数字の出どころが分かるようにします。熊本県警の記載例では、営業所の床面積も内のりで測っています。

当事務所の代表は元熊本県警察官(22年)で、警察官時代に風営法の許可の受付・調査に携わりました。行政書士になってからは、2018年に熊本県行政書士会の研修会で、1号営業の申請書類の書き方と営業所の計測について講師を務めました。この記事では、原文と熊本県警の記載例をもとに、床面積の測り方を説明します。

この記事のポイント

  • 許可申請書には「営業所の床面積」「客室の総床面積」「各客室の床面積」を書く欄があります(施行規則 別記様式第1号)
  • 営業所の床面積は、建築基準法上の床面積(壁などの中心線で囲まれた面積)を書けば足ります(警察庁 解釈運用基準 第12の12)。熊本県警の記載例は、内のりで測っています
  • 各客室の床面積は、壁や柱の中心線からではなく、うちのりで測ります(同)。ついたてなど、飲食に使わない部分は除きます(熊本県警 生活環境課ニュース 5(3))
  • 熊本県警の記載例では、カウンターを客室に入れ、その内側の厨房側は入れていません
  • 客室は1室16.5平方メートル以上が基準です(客室が1室だけなら除く)。測り方で数字が変わるので、基準に近いお店ほど丁寧に測ります

床面積は「営業所」と「客室」の2つ

床面積は「営業所」と「客室」の2つ(説明の図)

許可申請書の「営業所の構造及び設備の概要」の欄には、客室の数、営業所の床面積、客室の総床面積、各客室の床面積を書きます(施行規則 別記様式第1号 その2(A))。申請書には、営業所の平面図を付けます(添付書類内閣府令 第1条第3号)。

解釈運用基準は、「営業所」を、客室のほか、調理室・クローク・廊下・洗面所・従業者の更衣室など、もっぱらその営業に使う建物の部分としています(第12の2)。「客室」は、そのうちお客様に飲食や接待をする部分です。営業所の中には、調理場やトイレ、従業員の控え室のように、客室に入らない部分もあります。2つの面積を別々に出すのは、このためです。

熊本県警が公開している平面図の記載例(添付書類図面)では、2ページ目が営業所の床面積の図、3ページ目が客室の床面積の図です。平面図全体のページ立ては、「熊本の風俗営業の実地調査では何を見て、どこを測る?調査する側から見たお店の準備」で説明しています。

営業所の床面積は、建築の面積(壁芯)でも足りる

営業所の床面積は、建築の面積(壁芯)でも足りる(説明の図)

警察庁の解釈運用基準は、許可申請書の「営業所の床面積」の欄は、建築基準法上の床面積を書くことで足りるとしています(第12の12)。建築基準法上の床面積は、建物の各階またはその一部で、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積です(建築基準法施行令 第2条第1項第3号)。建築の図面でいう「壁芯」の面積のことです。

熊本県警も、営業所の床面積の図は、内のりで計算されていない建築用の図面を使ってもかまわないとしています。そのときは、床面積の値を明らかにした求積図と求積表を付けます(生活環境課ニュース 令和2年2月 5(2))。

壁芯は「使ってもよい」測り方で、内のりで測ってもかまいません。熊本県警の記載例では、営業所の床面積も壁の内側の寸法で測っています。お店全体の内側の広さ(8.4メートル×5.2メートル=43.68平方メートル)から、柱・厨房の壁・便所の壁・便所のドアの分を引いて、42.24平方メートルとしています。厨房と便所の中は、営業所の床面積に入っています。建物の図面を使わないときは、この記載例のように、お店の内側の寸法から求積図と求積表を作ります。

客室の床面積は、内のりで、ついたてなどを除いて測る

客室の床面積は、内のりで、ついたてなどを除いて測る(説明の図)

客室は、営業所と違って、壁の中心線で測った面積では足りません。解釈運用基準は、「各客室の床面積」の欄は、壁、柱等の区画の中心線から計るものではなく、うちのりの面積を記載するとしています(第12の12)。

熊本県警は、客室を、風俗営業では「客の接待をして客に遊興又は飲食させる部分」としたうえで、客室からはついたて等、飲食等の用に供されない部分が除かれるとしています。床面積は、内のりで、ついたて等を除いて正確に計算し、求積図と求積表を付けて値を明らかにします(生活環境課ニュース 令和2年2月 5(3))。

熊本県警の記載例でも、客室の中に立つついたて3枚の分(1枚0.2メートル×1.6メートル)を、客室の面積から引いています。客室の床面積は、壁や柱の内側の線で囲んだ広さから、ついたてなどが立っている部分を引いたものです。

客室に入るところ、入らないところ

客室に入るところ、入らないところ(説明の図)

解釈運用基準は、照度の測り方の項で、施行規則第2条の「客室」を、お客様に飲食をさせ、または遊興をさせるためにお客様に使わせる場所としています。そのうえで、たとえば次のところは客室に含まれないとしています(第3の1)。

  • 調理場
  • バーカウンターの内側の、お客様がいない部分
  • 洗面所
  • 和風のお店の床の間・押入れ・廊下
  • ショーや歌などをするステージで、お客様がいないもの

カウンターのあるお店で迷いやすいのが、カウンターそのものの扱いです。熊本県警の記載例では、カウンター(奥行き60センチ×長さ2.4メートル)を「客室A」として客室に入れ、その内側の厨房側は客室に入れていません。 お客様が飲み物を置いて使うカウンターまでが客室で、従業員が立つ内側は客室の外、という線の引き方です。

壁ぎわにソファーを並べた席も、記載例では、壁の内側まで客室に入れています。便所は、営業所の床面積には入っていますが、客室には入っていません。

客室の広さの基準と、区切った部分の使い方

客室の広さの基準と、区切った部分の使い方(説明の図)

1号営業のお店は、客室1室の床面積が16.5平方メートル以上(和風の客室は9.5平方メートル以上)でなければなりません。ただし、客室が1室だけなら、この広さの決まりはありません(施行規則第7条)。

熊本県警の記載例の客室床面積の図は、客室を A・B・C の3つに分けて計算していますが、記載例の許可申請書では「客室数 1室」「客室の総床面積 32.64平方メートル」です。A・B・C は計算のための区切りで、客室の数とは別です。

気をつけたいのが、基準の広さに足りない部分の使い方です。熊本県警は、1室の広さが基準を満たさない部分を、客室ではない従業員の控え室として許可を受けながら、そこを客室として使った例を挙げています。この場合は、構造・設備の変更を承認なしにしたものとして、刑事処分と、許可の取消しの行政処分の対象になるとしています(生活環境課ニュース 令和2年2月 3(1))。客室に入れなかった部分は、許可のあとも客室として使わないことが前提です。

許可のあとに営業所の構造や設備を変えるときは、あらかじめ公安委員会の承認が要ります。軽微な変更なら承認は要りませんが、届出が要ります(風営法第9条第1項・第3項第2号)。

形に分けて計算し、式を求積表に書く

形に分けて計算し、式を求積表に書く(説明の図)

求積図と求積表は、床面積の値がどうやって出たかを示すためのものです(生活環境課ニュース 令和2年2月 5(2)(3))。熊本県警の記載例の求積表も、「客室A 0.6×2.4=1.44」「客室B 5.4×5.2-0.2×1.6×3=27.12」「客室C 1.2×3.4=4.08」のように、形ごとの計算の式を並べ、最後に足し合わせています(1.44+27.12+4.08=32.64平方メートル)。

記載例は四角い形だけですが、カウンターの角が丸くなっているお店もあります。当事務所の計算例を挙げると、角が半径50センチの四分の一の円になっているなら、その部分は 0.5×0.5×3.14÷4=約0.196平方メートル です。形が四角でないところも、このように式が分かるように求積表に書きます。

よくある質問

建物の図面に書いてある面積を、そのまま客室の床面積にしてよいですか

いいえ。建物の図面の面積は、ふつう壁の中心線で測った面積です。営業所の床面積はそれで足りますが、各客室の床面積は内のりで測ることになっています(解釈運用基準 第12の12)。客室は、お店で内側の寸法を測って出します。

深夜にお酒を出すお店(深夜酒類提供飲食店営業)の図面も、同じ測り方ですか

客室を内のりで、ついたてなどを除いて測るのは同じです。熊本県警は、深夜における酒類提供飲食店営業の客室を「客に遊興又は飲食させる部分」としています(生活環境課ニュース 令和2年2月 5(3))。広さの基準は違い、深夜に営業する飲食店の客室は、1室9.5平方メートル以上です(客室が1室だけなら除く。施行規則第99条)。

トイレは客室に入りますか

入りません。解釈運用基準は、洗面所を客室に含まれないところとして挙げています(第3の1)。熊本県警の記載例でも、便所は営業所の床面積には入っていますが、客室の床面積には入っていません。

出典・参考

まとめ

  • 許可申請書には、営業所の床面積と客室の床面積を別々に書きます
  • 営業所の床面積は、建築基準法上の床面積(壁などの中心線で囲まれた面積)でも足ります。熊本県警の記載例は内のりで測っています
  • 客室の床面積は、内のりで、ついたてなど飲食に使わない部分を除いて測ります
  • 熊本県警の記載例では、カウンターは客室に入れ、その内側の厨房側と便所は客室に入れていません
  • 形ごとに計算の式を求積表に書き、足し合わせて床面積を出します

風俗営業の許可の申請と図面づくりは、当事務所にご相談ください

湯上行政書士事務所は、元熊本県警察官(22年)の行政書士が、熊本で風俗営業の許可と深夜酒類提供飲食店営業の届出をお手伝いしている事務所です。

  • お店の寸法を測り、熊本県警の記載例に沿った図面を作ります
  • 調査の前に、図面とお店を一緒に見比べ、引っかかりそうなところをお伝えします
  • 入口の表示・調光・料金表など、調査で見られるところを申請の前に整えます

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