「保健所の許可だけでスナックを開けていたら、警察の人から『お客さんの隣に座って接客していますね』と言われました。これからどうなるのでしょうか」
熊本で飲食店を営む方から、ときどきいただくご相談です。お客様の隣に座って続けて話し相手をするなどの「接待」をするお店は、風俗営業の許可を受けなければなりません。許可を受けないまま接待をしていれば、無許可営業です。
結論から書きます。無許可営業は、5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金(またはその両方)の対象になる、風営法の中でも重い違反です(第49条第1号。会社には3億円以下の罰金・第57条第1項第1号)。見つかったら、まず接待をやめて、許可を受けないでできる営業の形に戻すことが先です。 罰金以上の刑が確定すると、刑の執行が終わってから5年を経過するまで(執行猶予がついたときは猶予の期間が終わるまで)、風俗営業の許可を受けられません。その人が役員にいる会社も許可を受けられず、その人はお店の管理者にもなれません。
当事務所の代表は元熊本県警察官(22年)で、警察官時代に風営法の許可の受付・調査に携わりました。この記事では、無許可営業が見つかった「あと」に何が起きるかを順に説明します。開業の段取りは、お店の形によって変わるので、ご相談ください。
この記事のポイント
- 見つかったら、まず接待をやめることが先です
- 警察職員は、許可を受けていないお店にも立ち入ることができます
- 接待だけをやめて飲食店として営業を続けても、飲食店営業の指示や停止を受けることがあります。熊本県の処分基準では、いちばん重い区分(原則6か月の営業停止)に当たります
- 罰金以上の刑が確定すると、執行が終わってから5年は許可を受けられません。執行猶予がついても、猶予の期間中は同じです
- 本人だけでなく、その人が役員にいる会社も許可を受けられず、その人は管理者にもなれません
- 許可を受けたあとで刑が確定した場合も、許可が取り消されることがあります
見つかるのは、警察の立入りや捜査から

警察職員は、風俗営業の営業所に立ち入ることができます(第37条第2項)。警察庁の解釈運用基準は、立入りができるのは許可を受けたお店に限られず、許可を受けないで風俗営業をしているお店にも立ち入ることができるとしています(第36の3(1))。深夜に営業している飲食店にも、食品衛生法の許可の有無にかかわらず、立ち入ることができます(同)。
立入りは犯罪捜査のためのものではありませんが(第37条第4項)、無許可営業は罰則のある違反なので、刑事の手続きとして捜査が進むこともあります。立入りで何を見られるかは、「熊本で警察の立入りが来たら何を見られる?風俗営業のお店が日ごろ備えておくこと」で説明しています。
接待をやめても、飲食店の営業を止められることがある

見つかったあと、接待だけをやめて、飲食店として営業を続けたいと考える方は多くいます。解釈運用基準は、この場合について、次のように書いています(第32の7(2))。
- 無許可で接待のある営業をして摘発された人が、接待に当たる行為だけをやめて、飲食店営業は続けようとする場合には、風営法第34条にもとづいて、必要な指示をしたり、飲食店営業の停止を命じたりできる
風営法第34条は、飲食店営業を営む人が、営業に関して法令に違反し、著しく風俗環境を害するおそれなどがあるときは、6か月を超えない範囲で、その施設で営む飲食店営業の全部か一部の停止を命じることができるとしています(第34条第2項)。
熊本県公安委員会の処分基準では、飲食店営業を営む人が無許可で風俗営業をした場合は、区分A(飲食店営業については、原則として6か月の営業停止)に当たります(別紙2 別表 7(1)・4(1)A・12(1))。軽くする事情があるときは、2か月を下限に短くなることもあります(同12(2))。接待をやめたからといって、それまでの無許可営業がなかったことにはなりません。
「5年」は、いつから、どう数えるか

風営法第49条の罪で罰金以上の刑を受けた人は、刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過するまで、風俗営業の許可を受けられません(第4条第1項第2号イ)。
解釈運用基準は、この決まりの読み方を、次のように示しています(第12の7(1)〜(3))。
- 「刑に処せられ」とは、刑を言い渡す裁判が確定することをいう
- 当たるのは、裁判が確定したがまだ刑の執行がされていない人(執行猶予中の人を含む)、刑の執行中の人、刑の執行を終えて5年たっていない人、刑の執行を受けることがなくなって5年たっていない人
- 執行猶予がついて、その猶予の期間を過ぎた人は、刑の言渡しそのものが効力を失うので、当たらない
- 両罰規定(第57条第1項)で刑を受けた会社や個人の事業主も、当たる
つまり、罰金なら、刑が確定し、その執行が終わってから5年です。執行猶予つきの拘禁刑なら、猶予の期間が終わるまでは許可を受けられません。会社自身が両罰規定で罰金を受けた場合は、会社そのものも許可を受けられなくなります。
5年は、本人のほかにも及ぶ

第49条の罪で刑を受けた人に当たる決まりは、その人が関わるほかの場面にも及びます。
| 場面 | 決まり |
|---|---|
| その人が役員にいる会社が許可を申請する | 会社も許可を受けられない(第4条第1項第12号) |
| その人を管理者にする | 管理者になれない(第24条第2項第2号) |
| 特定遊興飲食店営業(クラブなど)の許可を申請する | 同じく許可を受けられない(第31条の23で第4条を準用) |
会社で許可を受ける形に変えても、刑を受けた人が役員に残っていれば、会社は許可を受けられません。
許可を受けたあとで刑が確定したら

無許可営業が見つかったあと、刑事の手続きが終わる前に、改めて許可を申請して許可を受けることもありえます。その場合でも、あとで罰金以上の刑が確定すれば、その時点で欠格事由に当たります。公安委員会は、許可を受けた人が欠格事由に当たることが分かったときは、許可を取り消すことができます(第8条第2号)。
熊本県公安委員会の処分基準は、第8条の事実が分かったときは、速やかに直すことができ、現に直そうとしている場合などで悪意がないか、ごく軽微な場合を除いて、許可を取り消すこととしています。その例として、会社の役員が欠格事由に当たった場合に、会社が速やかにその役員の解任の手続きを進めているとき、を挙げています(熊本県 処分基準 第8条)。
会社で許可を受けていて、役員の1人の刑が確定したときは、その役員の扱いをすぐに決めることが大切です。
別の人の名前で許可を取ればよい、ではない

5年待てないからと、家族や知人の名前で許可を受け、実際には自分が営業する、という形を考える方がいます。許可を受けた人は、自分の名義で他人に風俗営業を営ませてはならず(第11条)、違反すると、無許可営業と同じ5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、またはその両方の対象です(第49条第3号)。熊本県の処分基準でも、名義貸しは区分A(許可の取消し)です(別紙2 別表 1(21))。名前を貸した家族や知人が罰則の対象になり、許可も失うことになります。
見つかったら、まずすること

- 接待をやめる:その日から、接待に当たることを一切しない営業に切り替えます
- 営業の形を見直す:0時以降にお酒を出すなら深夜酒類提供飲食店営業の届出が要るなど、接待をしない形でも手続きが要ることがあります
- 警察からの連絡や書面に応じる:立入りを拒んだり妨げたりすると、それ自体が別の違反になります(第54条第7号)。警察からの連絡や書面には落ち着いて応じます
- これからの許可の見通しを立てる:刑が確定するかどうか、誰が刑を受けるかで、許可を受けられる時期と申請する人が変わります
よくある質問
警察から指導を受けただけで、刑を受けていなければ、すぐに申請できますか
第4条第1項第2号の欠格事由は、刑を言い渡す裁判が確定したときに当たるものです。刑が確定していなければ、この号には当たりません。ただし、刑事の手続きが続いているうちに許可を受けても、あとで刑が確定すれば、許可が取り消されることがあります(第8条第2号)。申請の時期は、手続きの状況を伺ってから決めます。
5年たったら、同じ場所で許可を受けられますか
人の欠格事由(第4条第1項)に当たらなくなれば、申請はできます。ただし、場所の制限(第4条第2項第2号)や店の造りの基準など、人以外の条件は、そのときの決まりで改めて審査されます。
従業員が勝手に接待をしていた場合も、無許可営業になりますか
経営者が知らなかったとしても、お店の業務として行われていれば、会社や事業主にも罰金が科されることがあります(第57条第1項)。
出典・参考
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)…第3条・第4条・第8条・第11条・第24条・第31条の23・第34条・第37条・第49条・第54条・第57条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(令和8年7月1日)(警察庁)…第12の7・第32の7・第36の3
- 処分基準(風俗営業の許可の取消し、停止命令・法第26条第1項)別紙2(熊本県公安委員会・令和7年11月28日作成)
- 処分基準(風俗営業の許可の取消し・法第8条)(熊本県公安委員会・令和7年11月28日作成)
まとめ
- 無許可営業は、風営法の中でも重い罰則のある違反です
- 見つかったら、まず接待をやめます。それでも飲食店営業の指示・停止を受けることがあります
- 罰金以上の刑が確定すると、執行が終わってから5年は許可を受けられません。執行猶予中も同じです
- その人が役員にいる会社も許可を受けられず、その人は管理者にもなれません
- 他人の名前で許可を受けて自分が営業するのは名義貸しで、同じく重い罪です
無許可営業を指摘されたら、当事務所にご相談ください
湯上行政書士事務所は、熊本で風俗営業の許可・深夜酒類提供飲食店営業の届出を支援している行政書士事務所です。代表は元熊本県警察官(22年)で、警察官時代に風営法の許可の受付・調査に携わりました。
- いまの営業の形を伺い、接待をしない形で続けるために要る手続きを整理します
- 許可を受け直せる時期と、誰の名前で申請するかの見通しをお伝えします
- 許可の申請の書類づくりから提出まで、お手伝いします

