「居酒屋の一角にゲーム機を2台置きたいのですが、許可は要りますか」「シミュレーションゴルフのお店を開きたいのですが、ゲームセンターと同じ許可になりますか」
飲食店やバーにゲーム機を置きたい方、シミュレーションゴルフやダーツのお店を始めたい方から、よくいただくご質問です。ゲームセンターでなくても、お店にゲーム機を置くと、風営法の「5号営業」の許可が要ることがあります。
結論から書きます。飲食店の中にゲーム機を置いて客に遊ばせると、1台でも風俗営業5号の許可が要るのが原則です。 ただし、警察庁の解釈運用基準には、ゲーム機の面積のおおむね3倍が、客席部分の10%を超えないときや、運動競技やその練習に使われている実態がある設備などを、当面、許可を要しない(規制の対象としない)扱いが書かれています。どちらに当たるかは、台数・広さ・遊ばせ方で決まります。
当事務所の代表は元熊本県警察官(22年)で、警察官時代に風営法の許可の受付・調査に携わりました。当事務所は2018年に、熊本市内のシミュレーションゴルフのお店の5号営業の許可も手伝っています。この記事では、5号営業の許可が要るかどうかの分かれ目を、熊本の条例の決まりとあわせて説明します。ポーカーなどのカードゲームのお店は、この記事では扱いません。
この記事のポイント
- スロットマシン・テレビゲーム機・ピンボール・クレーンゲームなどを置いて客に遊ばせる営業は、風俗営業5号に当たります(風営法第2条第1項第5号、施行規則第3条)
- 飲食店の「店舗」に置く場合も対象です。大きなお店の片隅に1台置くだけでも、原則は許可が要ります
- ゲーム機が占める面積のおおむね3倍が、そのフロアの客席部分の10%を超えないときは、当面、許可を要しない扱いがあります
- 運動競技やその練習に使われている実態があり、賭けごとに使わせない措置がとられている設備は、当面、規制の対象としない扱いがあります。ダーツやシミュレーションゴルフが名指しされているわけではありません
- 熊本県の条例では、5号の営業所で客に飲酒をさせることが原則禁止です。ただし、保健所の飲食店営業の許可を受けたお店で5号を営む場合は除かれます
- 5号のお店は、18歳未満の客を午後10時から翌朝6時まで入れられません。熊本県では午後6時から10時前に16歳未満の客を入れるとき、保護者の同伴を求めます
5号営業とは:どんな機械が当たるか

風営法は、「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの」を店舗などに置いて客に遊技をさせる営業を、風俗営業の5号としています(第2条第1項第5号)。対象になる設備は、国家公安委員会規則で次の5つに決められています(施行規則第3条)。
| 号 | 設備 | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 遊技の結果がメダルなどの数で表示される設備 | スロットマシン |
| 2 | テレビゲーム機(勝敗を争うもの、結果が数字などで画面に出るもの) | 対戦型の麻雀ゲーム、インベーダーゲーム |
| 3 | フリッパーゲーム機 | ピンボール |
| 4 | そのほか、遊技の結果が数字・文字・記号・物品で表示される設備 | クレーンゲームなど |
| 5 | ルーレット台・トランプ台などの設備 | ルーレット台 |
反対に、解釈運用基準は、次のようなものを対象から外すか、当面、規制の対象としない扱いにしています(第4の2(2))。
- 投げた球のスピードやパンチの強さなど、人の身体の力を計るだけのもの
- 生年月日や血液型を入れる占い機のように、同じ条件なら何度やっても結果が変わらないもの
- 運転席や操縦席が付いたドライブゲーム・飛行機の操縦ゲーム(倒した敵の数を競うものなど、運転や操縦以外の結果が数字で出るものは除く)と、機械式のモグラ叩き
- 運動競技や運動競技の練習に使われている実態がある設備で、賭けごとなどに使わせない措置がきちんととられているもの
飲食店の一角に置いても、原則は許可が要る

「ゲームセンターではないので関係ない」と思われがちですが、解釈運用基準は、5号の「店舗」には、ゲームセンターだけでなく、飲食店や小売店のお店も含まれるとしています。社会通念上の「店舗」にゲーム機を置けば、風俗営業の許可が要る、という考え方です(第4の2(3)ア(ア))。
ホテルや大きな商業施設の中のゲームコーナーのように、店舗に当たらない区画も、原則は5号の対象です。ただし、ホテル、店舗面積が500平方メートルを超える大規模小売店舗、遊園地の中の区画で、外から中を容易に見通せるものは、政令で対象から外されています(施行令第1条、解釈運用基準 第4の2(3)イ)。
「10%」の線:客席に比べてゲーム機の場所が小さいとき

解釈運用基準は、大きなレストランの片隅に1台だけ置くような場合まで許可を求めるのは、規制の必要性が小さいとして、次の扱いをしています(第4の2(3)ア(イ))。
- そのフロアの客の用に使う部分の床面積に対して、
- 客が遊技に使う部分の床面積(ゲーム機が直接占める面積のおおむね3倍で計算。1台の3倍が1.5平方メートルに満たないときは1.5平方メートルとして計算)が、
- 10%を超えないときは、当面、推移を見守ることとして、風俗営業の許可を要しない扱いとする
計算の例を書きます。客席部分が60平方メートルのお店なら、10%は6平方メートルです。床に0.4平方メートルしか占めない小さなゲーム機でも、3倍の1.2平方メートルは1.5平方メートルに満たないので、1台1.5平方メートルで数えます。4台なら6平方メートルで10%ちょうどなので、まだ超えません。5台なら7.5平方メートルで10%を超えます。
数えるときに気をつけるところが2つあります。
- 「1フロア」はお店の中だけです。 雑居ビルの同じ階にいくつもお店がある場合、その階全体ではなく、ゲーム機を置くお店の中だけで計算します
- カウンターやレジの内側、フロアと完全に仕切られたトイレなどは「客の用に使う部分」に入りません。 客席の床面積は、従業員だけが使うところを除いて数えます
10%の扱いは、置いている台数と広さで決まるので、あとから台数を足すと超えることがあります。置く台数を決めるときは、増やす予定まで入れて計算しておきます。
シミュレーションゴルフ・ダーツはどう扱われるか

インターネットでは「シミュレーションゴルフやダーツは風営法の対象外になった」と書かれていることがあります。今の解釈運用基準に書かれているのは、次の文です(第4の2(2)エ)。
「運動競技又は運動競技の練習の用に供されている実態が認められる遊技設備については、営業者により、当該遊技設備が本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技の用に供されないために必要な措置が適切に講じられていると認められる場合には、当面、賭博、少年のたまり場等の問題が生じないかどうかを見守ることとし、規制の対象としない扱いとする。」
ここから読めることは3つです。
- ダーツやシミュレーションゴルフという名前は出てきません。 機械の種類ではなく、「運動競技やその練習に使われている実態があるか」で決まります
- お店の側の措置が条件です。 賭けごとなどに使わせないための措置がきちんととられていると認められることが要ります
- 「当面」「見守る」扱いです。 法律や規則で対象から外されたわけではありません
結果が画面に点数で出るダーツやシミュレーションゴルフは、施行規則第3条の設備(数字で結果が出るもの)に当たり得る機械です。そのうえで、ゴルフの練習のように運動競技やその練習に使われている実態があり、お店が賭けに使わせない措置をとっているときに、規制の対象としない扱いになり得る、という順番で考えます。
当事務所の経験では、ダーツは、お店の人が遊んでいる様子を目で確かめられる状態で遊ばせていることが、見られるところになっていました。お店の造りや遊ばせ方によって判断が分かれるので、始める前に、機械の種類・置き方・遊ばせ方を整理しておきます。
ダーツの大会を深夜にバーで開くとき

解釈運用基準は、遊技設備を使った競技大会に客を参加させることをいつも行うバーのように、遊技設備で客に遊興をさせながらお酒を出す営業を深夜に営もうとする場合について、5号の許可を受けなければならないとしています。このときは、ゲーム機が少なく、遊技に使う部分の床面積が小さくても、「10%」の扱いはしないとしています。そのうえで、この営業は全体として風俗営業に当たるとしています(第24の4(2))。
風俗営業なので、午前0時から6時までは営業できません(風営法第13条第1項)。熊本では、毎日午前1時まで営業できる区域は接待飲食等営業とまあじゃん屋だけで、5号には毎日の延長がありません(熊本県風営法施行条例 第4条第3項)。深夜にダーツの大会を開くバーは、熊本ではその形のままでは営めません。 延ばせるのは、7月14日〜16日、8月14日〜16日、12月20日〜翌年1月8日と、公安委員会規則で決めた行事の翌日のその市町で、午前1時までです(同条例 第4条第2項・第5条第2項)。
一方、遊技設備を置いて客が自分で遊ぶだけで、大会は開かないナイトクラブの場合は、遊技設備の部分について5号の許可(10%を超えなければ要しない扱いあり)、深夜に遊興とお酒を出す部分について特定遊興飲食店営業の許可、という分け方です(同(1))。5号の許可を受けた場合は、風俗営業の営業時間の制限が掛かるので、営業できない時間になったらゲーム機を客に使わせない措置が要ります。10%の扱いで5号が要らない場合は、深夜も客に使わせられます(同(1))。
つまり、深夜にお店の側が大会を開いて盛り上げる営業では、「10%」の線は使えません。 深夜に客を遊ばせるお店の許可は、「熊本でクラブ・DJバー・スポーツバーを深夜に開くなら、特定遊興飲食店営業の許可が要る?」で説明しています。
5号の許可を受けたお店の決まり(熊本)

5号の許可を受けると、ゲームセンターと同じ決まりがお店に掛かります。飲食店にゲーム機を置く場合も同じです。
- お酒:熊本県の条例は、5号の営業所で客に飲酒をさせないことを決まりにしています。ただし、まあじゃん屋と、食品衛生法の飲食店営業の許可を受けた営業所で5号を営む場合は除かれます(熊本県風営法施行条例 第7条第2項第1号)
- 18歳未満:午後10時から翌日の午前6時までは、18歳未満の人を客として入れられません(風営法第22条第1項第5号)
- 16歳未満:熊本県では、午後6時から午後10時前に16歳未満の人を客として入れるときは、保護者の同伴を求めなければなりません(同条例 第8条)
- 営業時間:風俗営業なので、原則として午前0時から6時までは営業できません(風営法第13条第1項)。熊本では、5号に毎日午前1時までの区域はなく、午前1時まで延ばせるのは、お盆・年末年始の決められた日と、行事の翌日のその市町だけです(熊本県風営法施行条例 第4条・第5条第2項)
- 賞品と賭けごと:遊技の結果に応じて賞品を出してはいけません(風営法第23条第2項)。著しく射幸心をそそるおそれのある方法で営業しないことも決まりです(同条例 第7条第2項第3号)
許可を取らずに置いてしまうと

5号の許可が要るのに許可を受けずに営業すると、無許可の風俗営業になります。罰則は5年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、又はその両方です(風営法第49条第1号)。
居抜きの物件に前のお店のゲーム機が残っているときも、置いたまま客に遊ばせれば同じです。お店に置く前に、台数と広さを書き出して、10%の計算をしておきます。
よくある質問
ゲーム機1台だけなら、許可は要りませんか
台数ではなく、広さで決まります。1台でも原則は許可が要りますが、ゲーム機の面積の3倍(1台1.5平方メートルが最低)が、客席部分の10%を超えないときは、当面、許可を要しない扱いがあります。客席が15平方メートルより狭いお店では、1台でも10%を超えます。
UFOキャッチャー(クレーンゲーム)も当たりますか
当たります。遊技の結果が物品で表される設備は、施行規則第3条第4号の設備です。5号のお店は遊技の結果に応じて賞品を出してはいけませんが(風営法第23条第2項)、解釈運用基準は、クレーンゲームで釣り上げた小売価格がおおむね1,000円以下の物を出すことは、これに当たらない扱いにしています(第17の12(3))。
シミュレーションゴルフのお店は、5号の許可が要りますか
ゴルフの練習として使われている実態があり、賭けごとに使わせない措置がとられていれば、規制の対象としない扱いになり得ます。ただ、解釈運用基準はシミュレーションゴルフを名指ししていないので、機械の種類、遊ばせ方、お酒を出すか、ほかのゲーム機を置くかで判断が変わります。当事務所は2018年に、シミュレーションゴルフのお店の5号の許可を手伝いました(当時の扱いによるものです)。今は、お店の形を伺ってから、許可を受けるかどうかを整理します。
ゲーム機を置いたお店でお酒を出せますか
熊本県では、保健所の飲食店営業の許可を受けたお店で5号を営む場合は、客に飲酒をさせてよい扱いです(熊本県風営法施行条例 第7条第2項第1号の除外)。ただし、5号のお店として、午前0時以降は原則営業できません。
出典・参考
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)…第2条第1項第5号・第13条第1項・第22条第1項第5号・第23条第2項・第49条第1号
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)…第3条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(e-Gov法令検索)…第1条
- 熊本県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(熊本県例規集)…第4条・第5条第2項・第7条第2項・第8条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(令和8年7月1日)(警察庁)…第4の2(2)・(3)、第17の12(3)、第24の4
まとめ
- 飲食店の中でも、ゲーム機を置いて客に遊ばせると、1台でも5号の許可が要るのが原則です
- ゲーム機の面積の3倍(1台1.5平方メートルが最低)が客席部分の10%を超えなければ、当面、許可を要しない扱いがあります
- 運動競技やその練習に使われている実態がある設備は、お店が賭けに使わせない措置をとっていれば、当面、規制の対象としない扱いがあります。名前ではなく実態で決まります
- 深夜のバーで遊技設備の大会をいつも開く営業は、10%の扱いはなく、全体として風俗営業になります。熊本では5号に毎日の延長がないので、午前0時以降は営めません(お盆・年末年始などの日を除く)
- 熊本では、5号のお店は16歳未満の保護者同伴(午後6時から10時前)などの決まりがあります
ゲーム機・ダーツ・シミュレーションゴルフの許可は、当事務所にご相談ください
湯上行政書士事務所は、元熊本県警察官(22年)の行政書士が、熊本で風俗営業の許可と深夜酒類提供飲食店営業の届出をお手伝いしている事務所です。
- お店の図面から客席の面積を出し、ゲーム機を置いたときの10%の計算をします
- ダーツ・シミュレーションゴルフの置き方と遊ばせ方を伺い、5号の許可が要るかを整理します
- 許可が要る場合は、図面の作成から申請、調査の立会いまでお手伝いします

