風俗営業の管理者は誰がなれる?熊本の管理者講習と、辞めた人の分も要る従業者名簿

「店長を管理者にしていましたが、店長が辞めてしまいました。すぐに届け出ないといけませんか」

熊本で風俗営業を営む方から、よくいただくご質問です。管理者と従業者名簿は、許可を受けたあとも、お店がずっと守り続ける決まりです。どちらも、警察の立入りでよく確かめられます。

結論から書きます。風俗営業のお店は、営業所ごとに管理者を1人置きます。管理者が欠けても14日間は置かなくてよいとされていますが、その間に新しい管理者を決め、変わった日から10日以内に届け出ます。 従業者名簿は、今いる人だけでなく、辞めた人の分も、辞めた日から3年は備えておきます。

当事務所の代表は元熊本県警察官(22年)で、警察官時代に風営法の許可の受付・調査に携わりました。この記事では、営業中の管理者の決まりと、従業者名簿・接客する人の確認の記録について説明します。

この記事のポイント

  • 管理者は、営業所ごとに1人。店長・支配人など、営業所の業務をまとめて管理する人から選びます(第24条第1項)
  • 未成年者や、一定の刑を受けて5年たっていない人などは、管理者になれません(第24条第2項)
  • 管理者が欠けても14日間は置かなくてよく、管理者が変わったら10日以内に届け出ます
  • 公安委員会から管理者講習の知らせが来たら、管理者に受けさせなければなりません。定期講習は、おおむね3年ごとです
  • 従業者名簿は営業所ごとに備え、辞めた人の分も辞めた日から3年は残します。備えないと100万円以下の罰金の対象です
  • 接待のあるお店などは、接客する人の生年月日・国籍などを書類で確かめ、記録を3年残します

管理者は、誰がなれるか

管理者は、誰がなれるか(説明の図)

風俗営業者は、営業所ごとに、その営業所の業務の実施を「統括管理する者」のうちから、管理者を1人選ばなければなりません(第24条第1項)。警察庁の解釈運用基準は、「統括管理する者」とは全体をまとめて管理する人のことで、店長・支配人などが当たるとしています。経営者が自分で営業所を直接まとめているなら、経営者自身を管理者にすればよい、ともしています(第17の13(2)ア)。

管理者は、営業所ごとに「専任」で置きます(風営法施行規則第37条)。専任とは、その営業所に常勤して管理者の仕事ができる状態をいいます。隣り合っていて客が行き来できる2つの営業所を1人で見るときなどは、公安委員会の承認を受ければ、1人の管理者で足りる場合があります(同条ただし書)。

次の人は、管理者になれません(第24条第2項)。

  • 未成年者
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない人
  • 1年以上の拘禁刑を受けた人や、風営法違反などの決められた罪で罰金以上の刑を受けた人で、刑の執行を終えるなどしてから5年たっていない人
  • 集団的・常習的に暴力的不法行為などを行うおそれがあると認められる人
  • アルコール・麻薬・大麻・あへん・覚醒剤の中毒者
  • 風俗営業の許可を取り消されて5年たっていない人、取消しの手続きの途中で許可証を返して5年たっていない人など
  • 心身の故障により、管理者の仕事を適正に行えない人

管理者の役目

管理者の役目(説明の図)

管理者は、経営者や従業者が法令を守って仕事をするよう、必要な助言や指導をします(第24条第3項)。経営者は管理者の助言を尊重しなければならず、従業者は管理者の指導に従わなければなりません(同条第4項)。

管理者が行う仕事は、施行規則に並んでいます(第38条)。主なものは次のとおりです。

  • 従業者への指導の計画を作り、それにもとづいて実際に指導し、その記録を作る
  • 店の造りや設備が基準に合っているかを点検し、その記録を管理する
  • ぱちんこ屋などは、遊技機が基準に当たらないよう点検し、記録を管理する。客の遊技が度を超えないよう、情報の提供などをする
  • 営業についての苦情を処理する
  • 入れてはいけない未成年者を店の中で見つけたら、店から出るよう勧める
  • 従業者名簿と、接客する人の確認の記録を管理する
  • 業務の一部を外に任せているときは、契約の中身と仕事の状況を点検し、記録を管理する

解釈運用基準は、指導の計画とは、たとえば「何月は特に何について指導するか」といった計画を作ることだとしています(第17の13(3)イ)。

管理者が、管理者になれない人に当たるとき、または仕事に関して法令に違反して管理者にふさわしくないと認められるときは、公安委員会は、管理者を替えるよう勧めることができます(第24条第5項)。解釈運用基準は、この勧告は行政処分ではなく、どうするかは経営者の判断に任されるものとしています(第17の13(4)ア)。

管理者が辞めたとき・替えたとき

管理者が辞めたとき・替えたとき(説明の図)

管理者が欠けても14日間は置かなくてよく(第24条第1項ただし書)、替えたときは変わった日から10日以内に届け出ます(第9条第3項第1号、風営法施行規則第20条第2項)。届出のときは前の管理者の「風俗営業管理者証」も出し、新しい管理者が管理者になれない人に当たらなければ、新しい管理者証が交付されます(同条第3項・第4項)。

管理者を置かないまま営業を続けると、50万円以下の罰金の対象です(第55条第5号)。熊本県公安委員会の処分の基準では、管理者を選ばない違反は、営業停止の目安が「5日以上40日以下(基準は14日)」の区分に当たります(別紙2 別表 1(50)・4(1)E)。

管理者講習

管理者講習(説明の図)

公安委員会は、管理者に対する講習を行うことができ、風俗営業者は、講習の知らせを受けたら、その管理者に講習を受けさせなければなりません(第24条第6項・第7項)。講習は3種類です(風営法施行規則第39条)。

種類いつ時間
定期講習管理者に選ばれた日から、おおむね3年ごとに1回4時間以上6時間以下
処分時講習営業停止を命じられたとき、処分の日からおおむね1年以内に1回4時間以上6時間以下
臨時講習同じ違反が多い・法令の大事な改正があったなど、特別な事情があるとき2時間以上4時間以下

講習の知らせは、実施の予定日の30日前までに、管理者講習通知書で風俗営業者に届きます(施行規則第40条第1項)。病気などやむを得ない理由で受けさせられないときは、予定日の10日前までに、その旨と理由を書いた書面を公安委員会に出します(同条第2項)。解釈運用基準は、やむを得ない理由の例として、急病・交通事故・災害で交通が途絶えたことなどを挙げています(第17の13(5)エ)。

許可から10年以上たち、過去10年以内に処分(指示を含む)を受けていないなどの条件を満たしたお店が受けられる「特例風俗営業者」の認定では、過去10年以内に管理者講習を受けさせなかったことがないことも要件の一つです(第10条の2第1項、風営法施行規則第24条第2号、解釈運用基準 第17の13(5)ウ)。知らせが届いたら、日程を確かめて、必ず受けさせます。

従業者名簿に書くこと

従業者名簿に書くこと(説明の図)

風俗営業のお店は、営業所ごとに従業者名簿を備え、仕事をする人の住所と氏名などを書かなければなりません(第36条)。書く事項は、次のとおりです(添付書類等内閣府令第25条)。

  • 住所・氏名
  • 性別・生年月日
  • 採用した年月日・退職した年月日
  • 従事する業務の内容

名簿は、その人が辞めた日から3年を経過する日まで備えておきます(風営法施行規則第106条)。パソコンなどで記録し、すぐに画面に出せるなら、紙の名簿の代わりにできます(同第107条)。

解釈運用基準は、名簿について次のように書いています(第35の1)。

  • 名簿に書くのは、雇用契約のある労働者に限らない。労働基準法の労働者名簿で代わりになるなら、別に作らなくてよい
  • 業務の一部を外に任せていて、その仕事をする人も名簿に書く。たとえば、ほかから派遣されたコンパニオン・ダンサー・歌手なども、接待や歌などをするなら書く
  • 深夜にお酒を出す飲食店などは、深夜に働く人だけでなく、全ての従業者を書く

当事務所が見てきた範囲では、立入りで名簿を見せるよう求められることは多く、辞めた人の分を見られることもあります。辞めた人の欄を消したり、名簿から外したりせず、退職の年月日を書き足して残しておきます。

接客する人の生年月日・国籍の確認

接客する人の生年月日・国籍の確認(説明の図)

接待のあるお店などは、客に接する仕事をさせようとする人について、次のことを書類で確かめなければなりません(第36条の2第1項)。

  • 生年月日
  • 国籍
  • 日本の国籍がない人は、在留資格と在留期間の満了の日、資格外活動の許可の有無と内容(特別永住者はその資格)

確かめるときに使う書類は、内閣府令で決まっています(添付書類等内閣府令第26条)。日本の国籍がある人は、本籍地の都道府県名が書かれた住民票記載事項証明書、旅券(パスポート)、官公庁が出した書類で生年月日と本籍地の都道府県名が書かれたもの、のどれかです。日本の国籍がない人は、旅券か在留カードなどです。

確かめたら、その記録を作って、その人が辞めた日から3年を経過する日まで残します(第36条の2第2項、施行規則第108条)。記録は、確かめた事項と確かめた年月日を名簿に書き、確かめた書類の写しを名簿に付けて残すのが基本の形です。

解釈運用基準は、生年月日と国籍は、日本人か外国人かにかかわらず必ず確かめるとしています。また、資格外活動の許可で、風俗営業の仕事をすることは許可されない、とも書いています(第35の2)。留学生などを資格外活動の許可でアルバイトに入れる場合、接客に限らず、風俗営業のお店で働いてもらうことはできません。

守らなかったときの扱い

守らなかったときの扱い(説明の図)
守らなかったこと罰則熊本県の処分の基準の区分
従業者名簿を備えない、書くべきことを書かない、うそを書く100万円以下の罰金(第54条第3号)D(10日以上80日以下の営業停止・基準20日)
接客する人の生年月日などを確かめない100万円以下の罰金(第54条第4号)D
確認の記録を作らない、うその記録を作る、残さない100万円以下の罰金(第54条第5号)D
管理者を選ばない50万円以下の罰金(第55条第5号)E(5日以上40日以下・基準14日)
管理者講習を受けさせないなしG(指示にとどめ、指示に従わないときに営業停止)

会社の業務として行えば、会社にも罰金が科されます(第57条第1項第2号)。処分の区分の意味と、処分が決まるまでの流れは、「熊本の風俗営業で『指示』『営業停止』『許可の取消し』は何で分かれる?処分の基準と聴聞までの流れ」で説明しています。

よくある質問

経営者が自分で店に出ているなら、管理者を別に置く必要はありますか

ありません。解釈運用基準は、経営者が自分で営業所の業務を直接まとめているなら、経営者自身を管理者として選べばよく、ほかに管理者を選ぶ必要はないとしています。

1日だけ手伝ってもらった人も、名簿に書きますか

名簿に書くのは「当該営業に係る業務に従事する者」で、雇用契約のある人に限られません(解釈運用基準 第35の1(1))。短い期間だけ働いた人を除く決まりはないので、名簿に書いておきます。

辞めた人の名簿は、いつ捨ててよいですか

その人が辞めた日から3年を経過する日までは、備えておかなければなりません(施行規則第106条)。接客する人の確認の記録も、同じく3年です(同第108条)。

管理者講習の日に、どうしても都合がつきません

病気などやむを得ない理由があるときは、予定日の10日前までに、受けさせられない旨と理由を書いた書面を公安委員会に出します(施行規則第40条第2項)。仕事の都合だけでは、やむを得ない理由に当たらないことがあります。

出典・参考

まとめ

  • 管理者は営業所ごとに1人、店長・支配人など営業所をまとめる人から選びます
  • 管理者が辞めたら、14日の間に新しい管理者を決め、変わった日から10日以内に届け出ます
  • 管理者講習の知らせが来たら、必ず受けさせます。定期講習はおおむね3年ごとです
  • 従業者名簿は、辞めた人の分も辞めた日から3年は残します
  • 接客する人の生年月日・国籍などは書類で確かめ、記録を3年残します

管理者の届出や、名簿の整え方は、当事務所にご相談ください

湯上行政書士事務所は、熊本で風俗営業の許可・変更の手続きを支援している行政書士事務所です。代表は元熊本県警察官(22年)で、警察官時代に風営法の許可の受付・調査に携わりました。

  • 管理者が替わったときの届出書を作り、提出までお手伝いします
  • いまの従業者名簿と確認の記録を拝見して、足りない所をお伝えします
  • 管理者講習の知らせや、立入りでの指摘を受けたときのご相談に乗ります

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