「お客様どうしの目線が気にならないように、席の間に衝立や観葉植物を置きたいのですが、大丈夫でしょうか」
スナックやキャバクラなど、接待のあるお店(風俗営業の1号営業)の内装を考えている方から、よくいただくご質問です。落ち着いた雰囲気にしたいほど、席を区切りたくなります。ところが、ここは実地調査でとくに細かく見られるところです。
結論から書きます。1号のお店は、客室の中に「見通しを妨げる設備」を置くことができません(風営法施行規則第7条)。 警察庁の解釈運用基準は、仕切り・ついたて・カーテン・背の高い椅子(高さがおおむね1メートル以上のもの)などを挙げています。高さがおおむね1メートル以上の衝立・観葉植物・椅子の背もたれは、見通しを妨げるものとして見られるので、置く場所と高さを図面の段階で決めておくことが大切です。
当事務所の代表は元熊本県警察官(22年)で、警察官時代に風営法の許可の受付・調査に携わりました。この記事では、原文に書いてある基準と、当事務所が実地調査で見てきた「どこで引っかかるか」を分けて説明します。
この記事のポイント
- 1号のお店は、客室の中に見通しを妨げる設備を置けないうえに、客室の中がお店の外から簡単に見通せないことも求められます(施行規則第7条)
- 見通しを妨げる設備とは、仕切り・ついたて・カーテン・背の高い椅子(おおむね1メートル以上)などです(解釈運用基準 第12の8(1))
- 衝立の上をガラスにするなら無色透明のものに限られ、それも個別に判断されます(熊本県警 生活環境課ニュース)
- 当事務所が見てきた範囲では、背の高いものは壁に付けて置けば認められ、客室の真ん中に置くと認められないことが多くあります
- 高さを変えられる椅子はいちばん上げた状態で、床に段差があればそのぶんを足して見られることがあります
1号のお店には「見通し」の決まりが2つある

1号営業のお店の構造・設備の基準には、見通しの決まりが2つあります(施行規則第7条)。
- 客室の内部が、お店の外から簡単に見通せないこと(第2号)
- 客室の内部に、見通しを妨げる設備を置かないこと(第3号)
つまり、外からは中が見えないようにし、客室の中は見通せるようにする、という形です。外から見えない造りにするのは入口やお店の外壁の話で、客室の中を区切ってよいということではありません。
深夜(0時〜6時)に営業する飲食店すべて(深夜にお酒を出すお店を含む)にも、客室の中に見通しを妨げる設備を置かない決まりがあります(施行規則第99条第2号)。下に引く熊本県警のお知らせの1メートルの目安とガラスの扱いも、1号のお店と深夜にお酒を出すお店の両方について示されたものです。どの手続きが要るかは、お店の営業の形によって変わるので、ご相談ください。
「見通しを妨げる設備」は何か:原文の書き方

警察庁の解釈運用基準は、施行規則第7条の「見通しを妨げる設備」を、仕切り、ついたて、カーテン、背の高い椅子(高さがおおむね1メートル以上のもの)等としています(第12の8(1))。
この記事では、このおおむね1メートル以上のものは見通しを妨げるという線で書きます。熊本県警のお知らせも、1メートルを超えるついたてや椅子などは客室の内部に設けられないとしています(生活環境課ニュース 令和2年2月 3(2))。「おおむね」とあるので、客室の中に置くものは、1メートルに届かない高さにしておくのが確実です。
また、「等」とあるとおり、挙げられているものだけではありません。当事務所が見てきた範囲では、おおむね1メートル以上の観葉植物も、ついたてと同じように見られます。
衝立の上はガラスにしてよいか

衝立を1メートルに届かない高さにして、その上をガラスにする造りはよくあります。熊本県警のお知らせは、1メートルを超える部分が無色透明のガラス板なら見通しを妨げない場合があるとしつつ、判断は個別で、すりガラスやフィルムを貼ったものは妨げる、としています(同 3(2))。
当事務所の経験では、次のようなガラスは、調査で見通しを妨げると見られます。
- すりガラス、くもりガラス
- 透明なガラスに、目隠しのフィルムや模様のシートを貼ったもの
- 透明なガラスに、お店のロゴや文字を大きく入れたもの
ロゴ入りや模様入りのガラスは、見た目はよくても調査で引っかかるおそれがあります。客室の中のガラスは無色透明のまま、と内装の段階で決めておくと、あとで作り直さずに済みます。
壁際に置くか、客室の真ん中に置くか

解釈運用基準は、見通しを確保しなければならないのは客室の内部だとしています。そのうえで、客室の中央に調理場があるお店では、客室と調理場の間に見通しを妨げる設備を置くことは認められないが、壁際に調理場があるお店で、客室内の見通しを妨げない方法で、客室と調理場の間に見通しを妨げる設備を置くことはできる、という例を挙げています(第12の8(1))。
原文の例は調理場ですが、考え方は「客室の中の見通しをさえぎるかどうか」です。当事務所が見てきた範囲では、おおむね1メートル以上の観葉植物や背もたれの高い椅子も、壁にぴったり付けて置いていれば認められ、客室の真ん中や席と席の間に置くと認められないことが多くあります。
椅子の背もたれは「いちばん高い状態」で見られる

カウンター席の椅子には、座面の高さを変えられるものがあります。当事務所の経験では、こうした椅子は、調査の日の高さではなく、いちばん上げた状態で背もたれがおおむね1メートル以上になるかどうかで見られます。営業中に上げれば背もたれがおおむね1メートル以上になる椅子は、調査の日に下げてあっても、認められないことが多くあります。
当事務所では、そうした椅子を使うお店には、高さを変えるレバーを外すなどして、背もたれが1メートルに届かない高さで固定していただくようお伝えしています。
また、当事務所の経験では、客室の床に段差(小上がりなど)があると、段差の上に置く椅子や衝立は、段差のぶんだけ低くしないといけないと言われることがあります。段差のあるお店は、立面図に床の高さも書いておくと安心です。
衝立と椅子の高さは図面に書いておく

熊本県警の平面図の記載例では、最後のページに設備の立面図を付けます。ついたてや椅子などの立面図を作り、これらが見通しを妨げる設備に当たらないことを示すものです(生活環境課ニュース 5(5))。
当事務所が見てきた範囲では、調査の担当によっては、立面図に書いていない衝立にも、その場で高さを書き込ませることがあります。図面に高さが書いてあると、許可のあとに高さを変えていないかを確かめる目安にもなります。衝立・椅子・棚・観葉植物など、高さのあるものは、すべて高さを書いた立面図にしておくのが確実です。
許可のあとに背の高いものを置いたら

許可を受けたあとも、風俗営業者は、お店の構造と設備を基準に合うように保たなければなりません(風営法第12条)。許可のあとに背の高い衝立や観葉植物を客室の真ん中に置けば、この決まりに反することになります。法令に違反し、風俗を害するおそれなどがあると認めるときは、公安委員会は指示をすることができ(第25条)、場合によっては営業の停止や許可の取消しを命じることができます(第26条第1項)。処分の分かれ目は「熊本の風俗営業で「指示」「営業停止」「許可の取消し」は何で分かれる?処分の基準と聴聞までの流れ」で説明しています。
当事務所が見てきた範囲では、許可のあとに、仕切りを足した、ガラスを見えなくした、という変更は、警察の立入りのときに見つかることがあります(立入りは「熊本で警察の立入りが来たら何を見られる?風俗営業のお店が日ごろ備えておくこと」で説明しています)。許可のときの図面は、お店でも控えを持っておき、模様替えの前に見直すことをおすすめしています。
よくある質問
席の間をカーテンで区切ってもよいですか
客室の中を区切るカーテンは、解釈運用基準が「見通しを妨げる設備」の例として挙げているものです(第12の8(1))。客室の中に置くことはできません。
観葉植物は何センチまでなら置けますか
原文に観葉植物の高さの決まりはありません。見通しを妨げる設備の目安がおおむね1メートル以上なので、客室の真ん中や席の間に置くものは1メートルに届かない高さにし、それより高いものは壁際に寄せておくのが確実です。高さは、鉢と台を含めて考えておくと安心です。
透明なアクリル板の衝立なら、高くしてもよいですか
熊本県警のお知らせは、1メートルを超える部分が無色透明のガラス板なら見通しを妨げないとされる場合がある、としていて、判断は個別です。アクリル板について書いた原文は見当たりません。1メートル以上の部分を透明な板にするなら、少なくとも無色透明で、文字や模様の無いものにし、立面図に材質と高さを書いておきます。それでも認められるかは個別の判断になります。
出典・参考
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)…第4条・第12条・第25条・第26条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-Gov法令検索)…第7条・第99条
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準(令和8年7月1日)(警察庁)…第12の8(1)「見通しを妨げる設備」
- 生活環境課ニュース(令和2年2月発行)(熊本県警察)…見通しを妨げる設備の設置・設備立面図
まとめ
- 1号のお店は、外から中が見えないようにし、客室の中は見通せるようにします
- 見通しを妨げる設備は、仕切り・ついたて・カーテン・背の高い椅子(おおむね1メートル以上)などです
- 衝立の上をガラスにするなら無色透明に限り、それも個別に判断されます。すりガラス・フィルム・ロゴ入りは避けます
- 当事務所の経験では、背の高いものは壁際に、高さを変えられる椅子はいちばん上げた状態で、段差があればそのぶんを足して考えておくと安心です
- 衝立・椅子・棚・観葉植物の高さは、すべて立面図に書いておきます
内装の段階から、当事務所にご相談ください
湯上行政書士事務所は、元熊本県警察官(22年)の行政書士が、熊本で風俗営業の許可と深夜酒類提供飲食店営業の届出をお手伝いしている事務所です。
- 内装の計画の段階で、衝立・椅子・観葉植物の置き方と高さを一緒に見ます
- 実際の高さを測り、熊本県警の記載例に沿った立面図を作ります
- 調査の前に、見通しで引っかかりそうなところをお伝えします

